資源エネルギー学講座ミネラルプロセンシング分野

摘要

石油に代わるエネルギー資源としてメタンハイドレートが注目されている．日本近海の深海底にもメタンハイドレートの存在が確認されており，2016年以降の商業生産に向けて研究·開発が進められている．しかしながら，商業ベースで実用化するには技術的課題も多く，そのため基本物性の詳細な研究が必要とされている．そこで本研究では，結晶放置時間による生成時間の変化を考察した．その結果，ガスハイドレートにおいては，生成と分解を繰り返すとハイドレート生成のたびに要する過冷却度が小さくなることが知られている．このような現象をメモリー効果といい，ハイドレートが分解された後その残留構造が水の中に残り，再生成の核となるため生成しやすくなるのではないかと考えられている．各結晶放置時間において，再生成の生成時問と生成頻度と比較したところ，結晶放置時間が長くなるにつれ生成時問が短くなる傾向が見られた．これは結晶放置時間が長くなるとハイドレート膜が厚くなり，生成量が多くなったためではないかと推測された．すなわち，ハイドレートの残留構造が永中に多く残され，生成時間が短くなったと推測された．