構造解析に基づく菱刈鉱山山田鉱床友泉1脈群の探鉱と開発の現況

摘要

典型的引低硫化系浅熱水性金銀鉱脈鉱床に属する菱刈鉱山は鹿児島県北部に位置し（Fig.1），本鉱床·山神鉱床·山田鉱床の3鉱床からなる（Fig.2）．1981年に金属鉱業事業団の広域地質構造調査試錐により本鉱床が発見されて以降本格的な試錐·坑道探鉱を開始し，1985年7月には海抜100m（以降100MLと記す）で菱泉脈群に着脱，探鉱出鉱を開始した．継続的に行なった探鉱によって1988年には本鉱床南西約1.2kmに山田鉱床，1990年には菱刈第一·第二斜坑直下に山神鉱床をそれぞれ発見した．1991年からは両鉱床からも探鉱出鉱を開始し，2001年度には全山で出鉱量165,000t，全量約7.5tの出鉱体制を確立した.山田鉱床は友泉脈群，成泉脈群からなり，1987年から1988年にかけて実施した27孔の坑外読経により発見された.茨城（1990）は山田鉱床の鉱量を200万t，平均金品位を20～25g/tと推定し，本鉱床·山神鉱床よりは低品位であるとした．1989年に山田斜坑の掘進を開始し，1991年には100MLで現在の友泉5脈，および70MLで現在の友泉1派群に着脱した．これ以降友泉脈群からの探鉱出鉱を開始し，次いで1995年からは鉱床北部に位置する成泉脈群からの出鉱も開始した．2001年度は，山田鉱床から鉱量65,000t，全量約2.1tの出鉱を計画している．