フィジー諸島共和国ナモシ地域の銅探鉱プロジェクト

摘要

ナモシ地域，特にワイバカコリドー鉱徴地を中心に地質調査，地化学探査および物理探査を実施した結果，以下のようなことが明らかになった．（1）本地域の地質は，主に第三系の安山岩溶岩および火砕岩類とそれらに買入する閃緑斑岩などの半裸成～深成岩類からなり，下位からワイニマラ層群，マンドゥラウスズ層群に区分される．（2）ワイバカコリドー鉱徴地の南部および北部には。ENE-WSW系の2本の大規模断層が想定され，これと平行なリニアメントが多数発達する．また，NE-SW系～E-W系の裂辞も発達し，その裂纏沿いには石英脈や硫化物の鉱染が認められる．（3）本地域では閃緑斑岩が銅鉱化作用と密接な関係にあり，鉱化作用および熱水変質は中新世最末期（5.3Ma）に生じた．（4）ワイバカコリドー鉱徴地の閃緑斑岩分布域の直上で採取された土壌試料の大部分は250ppm以上の銅異常値を示し，特に母岩であるナモシ安山岩類の火山礫凝灰岩あるいは安山岩質斑岩が珪化作用を受けて石英派帯が発達する場合には，さらに高い銅異常値（500ppm以上）を示す．（5）斑岩銅鉱化作用の賦存する必要条件として，閃緑斑岩の存在，鋼，金，モリブデンの地化学異常城の重複，物理探査IP法における14～20mV/Vの中充電率の分布等が挙げられる．また，閃緑斑岩が露出していない場合には，金またはモリブデンの地化学異常城と中充電率城の重複した箇所の深部に潜頭性の鉱化帯の賦存が期待される．