白亜紀後期の海嶺衝突現象に伴う鉄·マンガンに富む堆積物：現世の海嶺熱水性堆積物との地球比学的類似性

摘要

アンバー様岩石は現世の海嶺近傍の鉄に富んだ熱水性堆積物と非常に類似した地球化学的特徴を示し，その起源が鉄質懸濁物質を先駆物質とした熱水性堆積物であることを示す。 また，その堆積場は中央海嶺近傍であると推察される。 アンバー様岩石や赤色頁岩，黒色頁岩などの一連の堆積物は，熱水性鉄質懸濁物質と陸源砕屑物が同時に供給されるような場で堆積したと考えられる。 すなわち，相対的に熱水性の鉄質懸濁物質が多ければアンバー様岩石が生成し，陸源砕屑物のみであれば黒色頁岩，熱水性懸濁物質が混入すれば赤色頁岩が生成したと推察される。 以上の結果は，Kiminami et al.（1994）の主張する白亜紀後期～第三紀前期の海嶺衝突現象を強く支持する。