医療訴訟事例から学ぶ(58)妊娠していた患者に投薬とレントゲン撮影を行った結果， 人工妊娠中絶手術を受けた事例

摘要

今回の裁判例は，患者Aは被告が開設したD病院 (以下「被告病院」）において消化器科の担当医による 診察を受けて投薬やレントゲン撮影を受けたが，この 診察の当時にすでに妊娠していることが後日の再診時 に判明したことから，上記担当医が適切な問診等をす ベき注意義務があるにもかかわらず，これを怠ったこ とにより，妊娠していることが判らず，上記投薬ゃレ ントゲン撮影の影響のため人工妊娠中絶手術を受けざ るを得なくなり精神的苦痛を被ったと主張して，被告 に対し，使用者責任又は債務不履行責任に基づき，慰 謝料などの支払いを請求した事案である〔大阪地裁 平成14年9月25日判決，平成13 (ヮ）第11299号〕.