悪性腫瘍に対する免疫遺伝子·細胞療法の現状と今後の課題

摘要

既存の治療に不応な悪性腫瘍，特に固形腫瘍に対する免疫療法は，1980年代後半頃より積み重ねられてきた養子免疫療法，樹状細胞療法，サイ卜力イン療法などを基盤に，近年の遺伝子解析および組み換え技術の進歩，さらには遺伝子導入技術の進歩が加わり，近年めざましい進展を遂げつつある。特にリセプター遺伝子改変Tリンパ球を用いた新たな養子免疫療法ならびに抗CTLA-4抗体を用いた免疫療法は共に，現在最も注目されている革新的な免疫療法であろう。本稿ではこれら免疫療法のうち，特に既存治療法に不応な進行期悪性固形腫瘍患者に対する免疫細胞療法，サイ卜力イン·抗体療法の現況について概説し，今後の展望についても述べる。