気道や食道の緊急処置後の医原性食道損傷に対する診療戦略頸部斜切開·一期的単純縫合閉鎖·深頸部縦隔ドレナージ

摘要

緊急気管挿管や緊急上部消化管内視鏡（gastrointestinal fiberscopy：GF）など頚部気道や食道の緊急処置の合併症として，医原性頚部食道損傷（iatrogellic cervical esophageal injury：ICEI）が知られている．多くの症例の基礎には，この合併症を生じる以前から，この緊急処置を要した原疾患と関連するショックや呼吸不全，意識障害などの病態がある．頚部食道損傷自体も診断·治療が遅延すると致命的となりうる病態である．重篤な基礎病態下で生じた医原性合併症の治療では，迅速な診断治療が枚命のためにも社会的にも必額となる．一方，これらの患者には，低栄養，生活能力低下，意識障害などの併存も多く，これらの背景も考慮した過不足ない適切な治療戦略が求められる.