腹壁結核の1例

摘要

わが国では戟後,急速に減少してきた結核の罹患率が近年,増加傾向を認めており注目されている.結核性疾患の中でも腹壁結核はまれであり,今回われわれは腹壁腫瘤として発見された腹壁結核の1例を経験したので報告する. 2000年12月ごろより左下腹部の腫瘤を自覚し,徐々に増大してきたため2001年1月30日当院を受診し,精査加療目的に入院となった.身長155cm,体重53kg.左下腹部に5×3cm大の可動性のない,弾性·軟の腫瘤を認めた.同部に圧痛を認めず,皮膚に発赤,腫脹はなかった.また,表在リンパ節は触知しなかった.