微量アルブミン尿を呈する2型糖尿病合併高血圧患者の尿中アルブミン排泄量に対するアンジオテンシン変換酵素阻害薬とカルシウム拮抗薬併用療法が及ぼす影響

摘要

糖尿病合併高血圧患者に対する降圧療法は，大血管合併症と微小血管合併症の予防および予後改善に非常に有効であることが証明されている。 しかし，微量アルブミン尿（すなわち，早期糖尿病性腎症）を呈する糖尿病合併高血圧患者における降圧療法の目標血圧値は確立されていない。 本研究では，微量アルブミン尿を呈する2型糖尿病合併高血圧患者を対象に，強化血圧コントロール（拡張期血圧＜80mmHg）が尿中アルブミン排泄に及ぼす影響を評価するため，アンジオテンシン変換酵素（ACE）阻害薬と長時間作用型カルシウム拮抗薬（アムロジピン）の併用療法の影響を検討し，ACE阻害薬単独療法の影響と比較した。 微量アルブミン尿を呈する高血圧·2型糖尿病合併患者30例に，ACE阻害薬のみ（Ⅰ群，n＝17）か，ACE阻害薬＋アムロジピン（Ⅱ群，n＝13）を32週間投与した。 その結果，血圧は両群において有意に低下し，拡張期血圧はII群においてⅠ群よりも低下した（76(+-)2mmHg vs．83(+-)2mmHg，P＜0．05）。 尿中アルブミン排泄量は両群で低下したが，統計学的に有意に達したのはII群においてのみであった（141（+-）25mg/日→69（+-）18mg/日，P＜0．05）。 つまり，降圧療法中の微量アルブミン尿減少の程度はⅡ群（50（+-）10％）においてⅠ群（14（+-）13％）よりも着意に大であった（p＜0．05）。