Aripiprazoleの使用経験

摘要

50歳代,女性,統合失調症。 病的体験に対する効果を求め,第1世代や第2世代の抗精神病薬の投与を行ったが,アカシジアによる睡眠障害や様々な副作用の出現により,病状管理に難渋していた1症例。 今回,我々は,この症例に対しaripiprazoleを投与したところ,長期間にわたり良好な経過を得たことから報告した。前薬のolanzapineを漸減した後にaripiprazole 6mg/日を上乗せ投与にて開始し,投与翌日には熟睡を得て,アカシジアの訴えは減少した。 更にその翌日には,日常化していた変薬希望はなくなり,家族に対する攻撃性は減少した。 Aripiprazole投与開始4日後に12mg/日に増量し,その8日後に退院となった。 アカシジアは消失し,睡眠導入剤を中止することも可能となった。 構築されていた妄想体系も崩れてきた。 Aripiprazole投与後,患者や家族の治療に向き合う態度-アドヒアランスの著明な向上を認めた。 現在,aripiprazoleを投与開始してから1年4カ月が経過し,aripiprazole単剤にて外来で良好に経過している。 Aripiprazoleはアドヒアランスの向上に寄与し,長期にわたる統合失調症の治療に有用性の高い薬剤と考えられた。