Helicobacter pylori感染診断法,~(13)C-尿素呼気試験に及ぼす影響因子

摘要

~(13)C-尿素呼気試験における呼気中~(13)CO_2の排泄に影響する因子{~(13)O尿素投与前の食事(75gのプリン2個)の有無, 13c-尿素投与後の姿勢,呼気採取の際の呼吸法,~(13)C-尿素を溶解する水の量および~(13)C-尿素投与後の口腔内洗浄の有無}を検討するため,血中Helicobacter pylori(以下H.pylori)抗体の陽性,陰性が判明した健常成人男子を対象に種々の条件下で~(13)C-尿素(治験薬C-13UBT)100mgを投与した。 投与前からの呼気中~(13)CO_2の増加率(△~(13)C)は血中H.pylori抗体陽性者群では食事有りが無しに比べ高値を示し,投与後の姿勢では△~(13)Cの平均値は左側臥位>仰臥位>座位の順であった。 ~(13)C-尿素の溶解液量や呼気採取時の呼吸法による影響は認められなかった。 H.pylori抗体の陽性,陰性に係わらず口腔内洗浄をしない場合は,口腔内洗浄をした場合に比べ△~(13)Cは高値を示し,投与後30分までの試験時間を通じて明らかな差が認められた。 一方,各因子の影響をH.pylori抗体陽性症例と陰性症例で比較すると,陰性症例の△~(13)C値は食事の有無,姿勢,呼吸法,液量に関係なく陽性症例と比較して低値を示し,明らかに差があった。 ~(13)C-尿素呼気試験での反応性が良好な組み合わせは食事をとり,左側臥位の姿勢で服用後30分に呼気を採取する方法と思われるが,~(13)C-尿素投与後の口腔内洗浄の有無を除き,H.pylori感染診断の判定には影響をもたらさないようである。 病態とH.pyloriの存在部位の関係から~(13)C-尿素投与後の体位に関しては,さらなる配慮が必要で,試験方法も含め患者症例での今後の検討が必要であろうが,~(13)C-尿素100mgを使用した場合の~(13)C-尿素呼気試験の標準的な試験方法を提案することができた。 ~(13)C-尿素投与後の臨床検査値(血液一般,血液生化学検査,尿検査),自他覚症状および安全性に関する検査において薬剤投与に関連すると思われる異常はみられなかった。