好酸球数25万/mulほで急増した治療抵抗性の好酸球増加症

摘要

症例は31歳男性。 96年10月より脳腫瘍のため約20カ月間ステロイド療法を受けた。 その間，好酸球数は100から1,000/mulであった。 98年6月24日左胸水のため呼吸困難となり入院した。 入院時，好駿球数は48，000/mul，好酸球には過分葉，顆粒の分布異常，空泡形成等の形態異常を認めた。 芽球と好塩基球の増加はなく，Hb13．4g/dJ，血小板数7．9万/mulであった。 骨髄はやや過形成で，芽球0．2％，好酸球55％で，染色体は正常，Wilms腫瘍遺伝子は陰性であった。 血清IgEは正常，ビタミンB_(12)とsIL－2Rは高値，IL－3，IL－5，GM－CSFは低値であった。 胸水中に多数の好酸球を認めた。 7月2日好酸球数110，000/mulと増加し，hydroxyureaを開始したが効果なく，7月16日好酸球数167，000/mulとなりvmcristineを追加した。 しかし翌日には，好酸球数は253，000/mulと著増し，cytarabineとdaunorubicinを投与したが，敗血症性ショックで死亡した。本症例は，染色体異常がなく，しかも男性であるために，単クローン性増殖の証明は不可能であったが，臨床経過から慢性好酸球性白血病が疑われた。 われわれの検索した範囲では文献上最高値の好酸球増加を呈した。