骨髄腫細胞と骨髄微小環境の相互作用

摘要

多発性骨髄腫は，単クローン性形質細胞の骨髄内集積と広範な骨破壊性病変の形成を特徴とする。本症の骨破壊性病変は進行性であり，骨痛や骨折のため息者のQOLは大幅に低下し，日常動作が制限される。さらに進行すれば高カルシウム血症や脊椎圧迫骨折による脊髄麻痺などを併発し生命予後を悪化させる。骨髄腫細胞は骨髄内で限局した増殖，進展を示し，広範な骨破壊性病変を呈することから，骨髄腫細胞と骨髄微小環境との相互作用が，骨髄腫の臨床病態の形成に重要な役割を演じていると考えられる。本稿では，骨髄腫細胞と骨髄微小環境との相互作用によりもたらされる骨病変の形成と腫瘍進展の機序について概説する。