内視鏡による胎児手術

摘要

胎児内視鏡(胎児鏡)は,現在の胎児診断の主流である超音波診断技術の導入以前におもに胎児診断の目的で行われた.子宮切開直視下の胎児手術が行われ,胎児が外科治療対象と認識されるようになり,また内視鏡技術の進歩と相まって,侵襲性の少ない胎児鏡による胎児手術が行われるようになった.胎児鏡を用いた胎児手術には,①双胎間輸血症候群に対する胎盤血管レーザー凝固術,②無心体に対する臍帯血流遮断術,③羊膜索症候群に対する羊膜索離断術,④下部尿路閉鎖症に対する尿路閉鎖解除術,⑤先天性横隔膜ヘルニアに対する一時的気管閉塞術,などがある.現在,胎児鏡による胎児手術はごく限られており,そのほとんどが①の双胎間輸血症候群に対する胎盤血管レーザー凝固術である.比較的良好な結果が得られてり,重症な双胎間輸血症候群の治療法として期待されている.今後日本においても普及するであろう.