近年,神経性食欲不振症(anorexia nervosa:AN)の増加傾向と発症の低年齢化が問題視されている.一方,成人例ANの晩期障害のひとつとして骨粗鬆症の存在が問題視され,Juanitaらの報告によると,体重回復の得られた症例でも骨密度の回復は遅れ,骨折の頻度は約7倍ともいわれる.また,小児期の骨密度は年齢により大きく変化するため,16歳以下の低年齢でのAN発症例に対する正確な骨密度の評価は困難であるのが現状である.とくにpeak bone massの得られる年齢以前にANを発症した小児例では,その後の骨密度にどのような影響を与えるのかは明らかではない.小児期にANを発症した児において,初回入院時骨密度(腰椎および大腿骨頸部)を同年齢の日本人における正常対照を用いて比較し,身体障害の評価としての有用性について検討を行った.
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