虚血性心疾患を背景とした心不全急性期の不整脈に対する ァミオダロン経口薬の低用量?短期間投与の試み-2症例の提示

摘要

虚血性心疾患を背景とした心不全急性期の不整脈に対し，ァミオダ口ン経口薬の低用量?短期間投与が有用であった2症例を提示する。【症例1】（44歳男性）は急性心不全に対し諸治療に て血行動態は安定し軽快するも，心室性期外収縮（VPC)と非持続性心室頻拍（VT)が頻発。 ァミオダロン内服100 mg/日開始により非持続性VTは抑制され，力ルべジロ一ル導入後，VPC の抑制が得られてからアミオダロンを減量，その後中止とした。【症例2】（85歳男性）は急性 心筋梗塞にて緊急で冠動脈ステント留置術を施行。第2病日より短時間で発作と停止を繰り返す 心房細動（AF)が頻発した。アミオダロン内服200 mg/日を開始し，翌日にはAFはみられなく なり洞調律維持が可能となった。その後，カルベジロールの導入，増量に伴ってアミオダロンは 減量，中止とした。肥大心，不全心，虚血心といった器質的疾患を有する患者の不整脈に対しては，それら疾患へ の治療や，5遮断薬，RAS抑制薬等の"upstream approach"が円滑に進めばハイリスク期間を ある程度予測できることから，アミオダロンを導入した場合でも，その減量·中止は決して困難 ではなく，アミオダロンの低用量·短期間の投与が有意義であるケースは多いと考えられる。