雷鳴頭痛とRCVS

摘要

雷鳴頭痛は重篤で爆発的な頭痛で，発症時あるいは1分以内に痛みのピークに達するとされており, 「急激に発症する激しい頭痛」である.表1に国際頭痛分類第2版の一次性雷鳴頭痛（4.6)の 診断垦準を示す.—次性雷鳴頭痛は，実際にはほとんど存在することはないと考えられており，雷 鳴頭痛に遭遇した場合，くも膜下出血，未破裂動脈瘤，脳動脈解離，脳静脈血栓症，下垂体卒中，特 発性頭蓋内圧低下症，高血圧性脳症などを鑑別する必要がある.また最近，可逆性脳血管攣縮症候群 (reversible cerebral vasoconstriction syndrome ： RCVS)も雷鳴頭痛を呈する疾患として，認 知されるようになってきた.RCVSは激しい頭痛（雷鳴頭痛）と可逆性の多発性脳血管攣縮を主徴と する病態である.RCVSでは，ほとんどの症例が後遺症を残さずに治癒するが，一部で脳梗塞， posterior leukoencephalopathy syndrome (PLES),脳出血，皮質性くも膜下出血などを合倂し， まれに後遺症を残すこともある.治療はRCVSの原因となり得る疾患の治療や薬物の中止，カルシゥ ム拮抗薬投与が中心となる.「急激に発症する激しい頭痛（雷鳴頭痛）」をきたした症例ではRCVSも 鑑別診断に言め，頭部MRI ， MRAによる精査を行う必要がある.