熱中症への緊急輸液療法

摘要

熱中症の病態を理解し,重篤な熱射病を見逃さないことが重要である.高温環境暴露による40℃以上の発熱,意識障害,発汗停止は迅速な処置が必要である.日射病,熱痙攣は涼しい場所で安静にし,経口的にスポーツドリンクや食塩液(水500mlに食塩5g)を摂取させる.症状が強い時は生理食塩液,乳酸加リンゲル液500-1 ,OOOmL点滴する.熱攣撃でミオグロビン尿が見られるときは入院させ十分な利尿を確保する.熱疲労は血液生化学検査,血液ガス,心電図などの検査を行う.　 深部体温38℃以下を目標に氷嚢などでcoolingする.生理食塩液,乳酸加リンゲル液500-l.OOOmL点滴する.これらの治療で改善傾向がなければ高度救急施設に転送する.転送までの間に生理食塩液1 ,OOOmLをさらに1時間程度で投与する.高ナトリウム血症が存在する場合は1号または4号輸液と5%ブドウ糖液を投与する.熱射病は直ちに高度救急施設に転送する.転送までの間に気道確保,循環動態をチェックし, 25℃から30℃の水をスプレーするなどの全身冷却行う.乳酸化リンゲル液か生理食塩液を1 ,OOOmLを30-60分で投与する.