無治療で長期生存したLambert-Eaton症候群合併肺小細胞癌の1例

摘要

症例は75歳男性.2006年11月，食欲不振と体重減少を主訴に当院を受診した.PET-CTでFDG 陽性の頸部·縦隔·腹部リンパ節の腫大を認め，左頸部リンパ節生検から小細胞癌の診断を得た.左上葉の結節を原発とする進展型肺小細胞癌と診断した.その後肺結節とリンパ節腫大の自然退縮を認めたため治療せず経過観察とした.2007年2月から進行性の下肢の筋力低下が出現し，7月には呼吸不全をきたし入院した.人工呼吸を必要とし，腫瘤は緩徐に増大したが，全身状態不良のため癌治療を断念した.2009年4 月に誘発筋電図所見と抗VGCC抗体陽性からLambert-Eaton症候群（LEMS)と診断した.発症後30力月を経て塩酸アムルビシンによる化学療法を開始し，腫瘍は縮小したが，筋力の改善は得られなかった.LEMS 合併肺小細胞癌患者の生命予後は非LEMS患者より良好であると報告されている.背景に免疫作用による抗腫瘍効果があると考えられた.