慢性胆嚢炎と胆嚢癌の鑑別診断

摘要

慢性胆嚢炎と胆嚢癌の鑑別診断について，自験例と文献上からその鑑別の要点について検討した．鑑別上問題となる病態は慢性胆嚢炎で胆石充満や限局性壁肥厚を示す場合で，平坦型胆嚢癌の合併や胆嚢癌との鑑別診断が問題となる．これらの鑑別診断には超音波検査のはかに造影CT，造影MRIが有力で，その壁構造の変化を検索し，また肥厚した壁の造影状態を観察することで鑑別が行われているのが現状である．特に黄色肉芽腫性胆嚢炎や平坦型胆嚢癌の術前診断は現状でも難しく，今後の画像診断法の進歩に負うところが多い．最終的には術中エコーを詳細に検討し，胆嚢粘膜層の連続性，周辺臓器と病変の関係を把握し，鑑別診断することが肝要である．