直腸癌局所再発に対する外科治療(仙骨合併切除）

摘要

直腸癌局所再発は進行下部直腸癌の再発形式の中でも最も多い再発の一つである直腸癌局所再発はそれ自体が肝?肺転移と異なり死因に直結する病態ではないが，瘍が増大すると周囲臓器に浸潤し，疼痛や出血?感染の原因となり，患者のQOLを著しく低下させる. 局所再発が見つかつたときに約半数は局所再発以外の再発を認めず，所の切除にて根治可能な症例がある.しかし，実際は確実な切離断端を確保するために，再発の部位によつては周辺臓器の合併切除が必要となることが多く，それが，直腸癌局所再発の治療を難しくしている原因の一つである.特に，仙骨前面再発の腫瘍は1981年にWaneboらが仙骨合併切除することで長期生存例を報告し，わが国ではTakagiらが1983年に仙骨合併切除の報告をしている.