原発性肺癌Primary lung cancer

摘要

厚生労働省の人口動態統討によれば2002年の日本人の総死亡数は98万人である．死因別には悪性新生物が30万人であり，第1位となっている．さらに悪性新生物を部位別に分けると，肺癌の死亡数が5.6万人であり第1位となっている．また，肺癌の死亡数は年々増加の一途をたどっている．肺癌は年齢別に見ると60～70歳代に多く見られる．肺癌と診断された時点で約6～7割の患者がすでに進行癌となっており，早期発見の必要性は依然として課題となっている．Mayoclinicを中心とした欧米での無作為比較試験において胸部X線と喀痰細胞診を用いた肺癌検診の検証をした結果，有意な結果を証明することはできなかった．また近年，高速らせんCTの技術の発展とともに肺癌検診も診断率の向上を図るためCTで検診が行われるようになりつつある．しかしながら情報量，汎用性，経済性から見て胸部X線写真の重要性は依然としてゆるぎないものであり，治癒切除可能な原発性肺癌の存在診断は現在でもなお胸部Ⅹ線がその重安な役割を担っている．