呼吸機能とQOLからみた吸入ステロイド薬の末梢気道炎症治療効果

摘要

気管支喘息患者の閉塞部位に関しては1980年代から注目を集めた問題で，以来中枢気道から末梢の気道閉塞の重要性が指摘されてきた．末梢気道閉塞は気管支喘息の病態に深く関与していると考えられるが，末梢気道閉塞の簡便な指標がなく，一般臨床において末梢気道閉塞の治療は概念的なものであった．近年，超微粒子径吸入ステロイドが使われるようになり，その臨床効果が確認されるにつれて，末梢気道炎症を標的とした治療結果が報告されるようになり，実地臨床の場においても末梢気道閉塞が意識されることが増えてきたように思われる．本稿においては吸入ステロイド療法と肺機能とQOLとの関連について概説したい．