体外循環材料による血管内皮前駆細胞（EPC)誘導の検討

摘要

慢性腎不全の透析患者には虚血性疾患が多く、予後も血管性病態によって決まる。 また末梢血中の血管内皮前駆細胞（EPC）が減少し機能低下している。 一方EPCは心筋虚血モデルや下肢虚血モデルにおいて血管の新規形成を促進することが明らかとなってきた。 透析膜など体外循環材料がEPC増加作用をもてないが、透析患者が抱える虚血性疾患のリスク回避につながる可能性がある。 現存透析膜による、末梢血中EPC数の増加作用を調べる。 8過SDラット末梢血と透析膜より取り出した中空糸膜（A，B，C）を、37℃1時間インキュベートさせた後、接触血液2mlを別のラットに輸血し、経時的にドナーラット末梢血中のEPCマーカー（CD34、VE－cadherih）陽性細胞数の変化をflow cytometryで調べた。 【結果】ラット末梢血と各種透析中空糸膜とのin vitroでの37℃1時間インキエペートでは、CD34陽性細胞数に変化はなかった。