脳卒中における血管内治療の現状

摘要

脳血管内治療（カテーテル治療）は，主に大腿動脈から血管の中をアプローチして出血（くも股下出血，脳内出血）の原因となる病変を閉塞させたり，虚血（脳梗塞）の原因となる動脈硬化性狭窄病変を拡げる治療である。治療中に脳の血管が破れると「くも膜下出血」や「脳内出血」を，逆に正常の血管を閉塞させてしまうと「脳梗塞」を起こしてしまうこともあり，これらの合併症が生じると大きな後遺症を残す危険性がある。そのため，脳の血管内治療は，他の器官の血管内治療と比べると遅れて臨床応用が開始された。1977年にロシアのSerbinenkoが考案した離脱式バルーンによる血管や動脈痛の閉塞に始まり，器具の開発とともに徐々に適応が拡大している。