性感染症 診断·治療 非クラミジア性非淋菌性尿道炎

摘要

性感染症（Sexually transmitted diseases：STD）のうち男子尿道炎は淋菌性尿道炎と非淋菌性尿道炎に分けることができる。 しかし非淋菌性尿道炎の中で病原的意義が判明しているものは，現在のところChlamidia trachomatis（以下C.trachomatisと略す）により生じるクラミジア性尿道炎のみである。 ところが非淋菌性尿道炎患者の中でC.trachomatisが検出されるのは30～40％であり，60～70％でC．trachomatisや一般細菌が検出されず，病因の不明な尿道炎症例が認められる。 これらを総称して非クラミジア性非淋菌性尿道炎と呼んでいる（ただし，これらの中には実際には淋菌あるいはクラミジア感染があったにもかかわらず，検査上偽陰性であった症例が含まれていることも考慮しておかなければならない）。 しかし現在のところ，この非クラミジア性非淋菌性尿道炎の原因となる微生物は確定されていない。 そこで本項ではこの非クラミジア性非淋菌性尿道炎について，最近の知見をもとに述べたいと思う。