日本の献体活動一献体法制定の前後

摘要

日本の献体システムは国の文化と伝統にほどよくとけ込み，しかも高い機能性を保持した傑作である．教材不足による解剖学教育の質の低下を憂うる人々の善意から1955年（昭和30年）ごろ各地で始まった献体運動が，全国的連絡組織（篤志解剖全国連合会）をつくり連携を深めるようになったのが1971年（昭和46年），そして当時の個性豊かな指導者達の献体第一世代から組織化の第二世代への移行がスムースに進行したことが，現在の理想的な献体運動につながっているのであろう．その意味で1980年前後（昭和50年代）は献体運動の健全な成長を左右する時期であった．