A型インフルエンザ治癒直後に肺結核再燃を生じた潜在性結核感染症の1例

摘要

2009年のィンフルェンザA/H1N12009のパンデミックの時期に，A型インフルエンザ治癒後 間もなく一般細菌，肺炎マイコプラズマ，肺炎クラミジァのいずれかによる肺炎と合併して肺結 核再燃を生じた，潜在性結核感染症の17歲女児例を報告する.来院時，全身状態不良であり，胸 部にラ音を聴取した.胸部画像所見は両下肺野の広範な浸潤影と左右上肺野の線状影，左肺門部 リンパ節石灰化を認めた.一般抗菌薬投与開始後も発熱，咳症状の改善が乏しいことなどから肺 結核再燃が疑われ，P客痰結核菌PCR，培養検査で診断を確定した.この報告はA型インフルェン ザウィルス感染が細胞性免疫を抑制し，器質的傷害を生じて古い病巣内の結核菌を活性化させた 可能性があると考えられ，おそらくィンフルェンザA/H1N1 2009感染が潜在性結核感染症児に 結核再燃を生じた最初の報告である.