慢性血液透析患者の大動脈弁狭窄症に対する大動脈弁置換術の早期?中期成績

摘要

慢性血液透析患者の弁膜症手術が増えており，このうち大動脈弁狭窄症（AS)が72～86%を占めているが，大動脈弁置換術（AVR)の手術死亡は6.8～22.7%と非透析患者より高いと報告されている.これは大動脈や弁輪の石灰化に対する手術手技がしばしば困難であること，周術期管理に難渋することが少なくないことなどが影響している.当施設では手術と周術期管理の標準化，簡素化に努め，また弁の使用に関しては原則機械弁を選択している.今回慢性血液透析患者のASに対するAVRに関し，その治療戦略の妥当性を示すベく手術成績を後方視的に検討した.