鼠径ヘルニア手術を契機に診断された腹膜播種を伴う 盲腸癌の1例

摘要

鼠径ヘルニアは日常頻繁に遭遇する疾患である が，鼠径ヘルニア内に腫瘍が存在する鼠径ヘル二 ァ囊腫瘍は非常にまれである。なかでも転移性腫 瘍を認めるものは，転移性鼠径ヘルニア囊腫瘍と 称され，さらにまれである。今回われわれは鼠 径ヘルニア手術を契機に診断された腹膜播種を伴 う盲腸癌の1例を経験したので文献的考察を加え て報告する。症例：84歳，女性。主訴：右鼠径部の膨隆。既往歴：高血圧，認知症。現病歴：数力月前から起立時に右鼠径部の膨隆 を自覚していた。しだいに膨隆の程度が増悪して きたため当院を受診した。