不全分葉における肺静脈の三次元的走行の法則性についての検討基準点の導入による分析

摘要

右肺は3葉,左肺は2葉で,それぞれに不全分葉があることは,解剖学的,外科的には昔から広く知られていた。最近は,手術でも不全分葉に留意した術式を試みるグループもあるが,手術に際しては自動縫合機を用いることも多く,術中にも不全分葉の融合部の構造に着目することは少ないと思われる。 しかし,不全分葉の融合部を通じた側副気路は,病変の進展を考える上でも重要な構造物であると,筆者は従来から考えてきた。