無線アドホック通信の並行性を向上する片方向FEC通信手法

摘要

互いに隠れ端末の位置にある無線ノードの並行送信の回避が必要となる無線アドホックネットワークでは，信頼性の向上と配送遅延の縮小の両立が求められる．我々はBEC（Backward Error Correction）通信とFEC（Forward Error Correction）通信とをビット誤り率と隣接無線ノード数およびそのデータメッセージ送信頻度に応じて使い分ける手法を提案した．FEC通信では，隣接無線ノードが限定的にFEC通信を並行実施することが可能であるが，従来のRTS／CTSプロトコルでは実現することができない．本論文では，並行FEC通信を実現するための拡張RTS／CTSプロトコルを提案する．ここでは，従来のRTSメッセージ，CTSメッセージに対応するPRTSメッセージ，PCTSメッセージ，およびデータメッセージの配送間に待機時間を設けることで並行FEC通信を実現している．このプロトコルは，従来のRTS／CTSプロトコルと混在して適用することが可能であることから，BEC通信とPEC通信の混在する無線アドホックネットワークの実現に供することができる．