福島事故後もフランスは原子力開発継続

摘要

原子力発電所の建て替え計画をすでに承認していたスイスは、計画の中止と既設炉の段階的廃止を決めた。さらにイタリアは国民投票で新規建設計画の中止を決めた。一方、福島事故後も、原子力開発の継続を明確にしている国も多数ある。一基建設中のフィンランドは、安全検査の結果、緊急を要する新たなリスク要因や不備は認められないとして建設続行を決めた。また、新規建設に向けて始動した英国でも、安全規制当局が、福島原子力発電所事故で明らかになった安全面での問題について、英国の既設炉や新規建設計画には問題はないとの見解を示した。また、東欧·中欧の原子力発電国も運転·新規建設の続行を明言している。中でも、五八基の原子力発電プラントを運転し、建設中と計画中をそれぞれ一基持つフランスは、安全点検の実施を決めるとともに、今後も原子力開発を継続していくことを明らかにしている。本稿では、このフランスについて、福島事故後の状況を分析する。