放射線医療の現状と課題

摘要

一八九五年のレントゲンによるX線の発見以来、放射線は現代医療において極めて重要な位置を占めるに至り、診断及び治療において必須のものであることは、誰しも認めるところであろう。科学技術の進歩により、医療放射線技術も高度化の一途をたどり、より精密·正確な画像診断、高度な放射線治療技術が開発·実用化されてきた。人々は疾病の診断·治療において、その恩恵を受けている。二〇一五年の日本の平均寿命が男性で八〇·七九歳、女性で八七·〇五歳と過去最高となったのは、放射線診療を含む医療技術の高度化も一助となっていると思われる。現在、日本のがん生存率は、全部位五年相対生存率では、二〇〇六から二〇〇八年の診断症例で、男性五九·一%、女性六六·〇%、男女計六二·一%と評価されている。