高速水中可視光通信のための複数色LEDを用いた畳み込み符号化OOK方式の一検討

摘要

近年，水中通信では短距離でも高速通信が可能な，可視光通信が注目されている．しかしながら，水中可視光通信では距離減衰に加え，水の消散，吸収によるクロロフィル濃度の変化によって通信品質が大きく劣化する．さらに，水質によって通信に適した波長が変化し，単色での通信では限界がある．そこで本稿では，高信頼な水中可視光通信を実現するために，誤り訂正符号として畳み込み符号を採用し，かつ水中通信路特性に適応するために畳み込み符号により符号化された信号とLEDの発光色（R，G，B）とを組み合わせることでさらなる誤り率性能の向上を目指す．とくに本稿では，クロロフィル濃度と伝送速度に応じた，符号化率と，その際に用いる光の波長との最適な組み合わせを検討した．さらに複数色LEDを用いた畳み込み符号化OOK方式のビット誤り率性能を，LEDの応答性，クロロフィル濃度による水中通信路減衰を考慮しシミュレーション評価を行った．その結果，伝送速度が50Mbpsの場合，BER性能が10~(-5)の点で，提案方式は単色LEDを用いたOOK方式に比べ，1ビットあたりの信号電力対雑音電力を約3dB改善出来ることが示されている．