無線LANシステムにおけるユーザ間公平性を考慮した基地局連携受付制御·チャネル選択のゲーム理論的解析

摘要

著者らは，これまでに3つのAPが形成するセルがオーバラップし，各APが40MHz，80MHz，160MHz とチャネル間隔が異なる複数のチャネルが選択可能な状況において，そのうち2つのAPを集中制御して，高い総スループットが得られるように動作する状況を戦略形ゲームとして定式化した．ナッシュ均衡点におけるスループットを解析した結果，集中制御下にある2つのAPの総スループットが，集中制御を行わない場合に対し，最大で80％向上することを示した．また，チャネルが選択可能なことに加え，集中制御された複数のどのAPにも端末が接続できる際に，どのAPが受け付ければ集中制御下にあるAP群の総スループットが高くなるかを評価するため，各APが使用するチャネル及びチャネル間隔に加え，端末数を選択する際のスループットの変化を戦略形ゲームとして定式化し，連携動作する2つのAPの総スループットの最大値が向上することを示した．本稿では，端末間の公平性を高めるため，各端末のスループットの横を効用とする方式を提案する．スループットの積を効用とすることで，戦略形ゲームにナッシュ均衡点が生じ，各APと通信する端末数を制御することで，一部の端末にリソースが集中することを防ぐことが可能なことを明らかにした．