LTE-Advanced上り制御チャネルにおける送信ダイバーシチの必要性に関する検討

摘要

3GPPにおいて標準化が開始されたLTE-Advanced (Advanced E-UTRA)では，LTE (E-UTRA)と後方互換性(Backward Compatibility)を持つ単位帯域を束ねることにより超広帯域通信を実現する"Carrier aggregation"や，マルチアンテナ技術を応用した"SDM (Spatial Division Multiplexing)"が採用される見込みである．またLTE-Advancedでは，データ回線だけではなく，制御チャネルにもマルチアンテナ技術を適用し，特に上り制御チャネルの品質を向上する検討が行われている．しかしながら，LTE-AdvancedシステムがLTE端末をサポートする必要性を考慮すると，LTE-Advanced端末の上り制御チャネルの伝送特性の向上は，セル配置設計のために重要な指標である「セルカバレッジ」の増大に寄与しない．これは，セル配置設計におけるセルカバレッジはLTE端末の上り伝送特性によって制限されるためである．従って，LTE-Advancedにおける上り制御チャネルの伝送特性向上の必要性は，セルカバレッジの増大以外のメリットに基づいて検討されなければならない．そこで本稿では，LTE-Advanced上り制御チャネルにおける情報量増加の可能性，及びそれに伴う性能向上の必要性，また，E-UTRAに対する後方互換性等を考慮に入れつつ，下りHARQ向けに用いられる上りACK/NACK信号，及び，下り適応変調のためのフィードバック情報であるCQI (Channel Quality Indicator)信号に関する端末側送信ダイバーシチ手法を個別に検討し，ACk/NACK信号とCQI信号のそれぞれに対して適切な送信ダイバーシチ手法を導き出す．