地上デジタル放送の電波を全国あまねく届けるため,数多くの中継局が建設された.中継局を建設するにあたっては,県庁所在地にある放送局の放送信号を各市町村の中継局まで配信する手段を確保することが課題であった.中継局に放送信号を配信する手段としては,STL/TTL(Studio to Transmitter Link/Transmitter to Transmitter Link)と呼ばれる専用回線を使用する方法と,放送信号をリレー形式で受信,再送信する放送波中継と呼ばれる手法がある.放送波中継は,新たな周波数資源が不要であること,設備が安価であることなどの利点があるが,親局あるいは上位局の放送波を用いるので,伝搬路におけるさまざまな干渉妨害により放送信号の品質が劣化する.NHK 放送技術研究所では,放送波中継における干渉妨害を取り除くための各種の補償器の研究開発を行ってきたので,その概要を紹介する.
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