20面体電波暗箱を用いた携帯電話放射効率測定法の実験的検討－散乱型ランダム合成器の部分試作

摘要

筆者らは，人体近傍で用いられる携帯端末の設計においてその放射効率を迅速に測定することを目的に，全立体角に直交センサを配置しこれらをランダム合成することにより統計的に放射効率を求める新しい方法について提案した．さらに，実験的に20面体形状の電波暗室および80対の直交センサを用いた8GHz帯スケールモデルの放射効率測定系を構築し，その有効性を確認した．本報告では，散乱型ランダムRF合成器（分配器）を試作し，生成されたランダム信号の特性評価を行った．その際の各ポートにおける通過特性のバラつき，相関特性を検証した．その結果，ランダムRF合成器の通過することにより，それぞれのポートで相関の低いランダム信号を生成することが可能であり，それらのランダム信号の平均レベルのバラつきは0.54dB以下であることを明らかにした．また，FDTD法，放射パターン積分法とランダムRF分配器より生成した低相関の8つのランダム信号を用いた提案測定系による放射効率を比較した結果，FDTD法では79.5%，放射パターン積分法では79.3％，提案測定系では76.9％となり，提案測定系が有効であることを明らかにした．