振幅雑音補償包絡線パルス幅変調（ANC-EPWM）送信回路のFPGA設計

摘要

ブロードバンド移動通信に広く採用されているOFDM信号はPAPRが大きいことから，一般的な増幅器による高効率線形増幅は困難である．この課題を解決する手法としてEPWM（Envelope Pulse Width Modulation）送信法が考案されている．さらに，EPWM送信回路で発生する量子化雑音を効果的に低減するANC（Amplitude Noise Compensation）-EPWM送信法が提案されており，シミュレーションによってその効果が既に示されている．一方本稿では，ANC-EPWM送信回路によって広帯域OFDM信号を送信する上で課題となる回路実現上の問題を取り上げる．本送信回路をFPGA（Field Programmable Gate Array）に実装することを想定し，その主要構成要素である△-∑変調器と雑音帯域制限LPPにおける回路設計，具体的には固定小数点演算処理における信号処理ビット数，乗算器および遅延器の構成法による高速化を行って回路設計法を確立し．10MHzキャリア間隔のIEEE802.11p信号およびLTE信号を本設計により発生させて測定を行った．この結果，いずれの信号に対しても隣接チャネル電力比および次隣接チャネル電力比はそれぞれ-44dBおよび-42dB以下が得られ，シミュレーション結果に近い値が得られた．