ウェイクアップ受信機付無線LANシステムに対する隠れ端末の影響

摘要

現在、無線LANのアクセスポイント（AP）の未使用時における無駄な電力消費が問題となっている。この問題を解決するために、無線LANのAPにウェイクアップ受信機を適用し、未使用時にAPをスリープ状態にすることで消費電力を削減するRadio-On-Demand（ROD）無線LANが提案されている。ROD無線LANでは、無線LAN端末（STA）が送信する無線LAN信号をウェイクアップ信号として用いる。このため、ウェイクアップ信号は、CSMA/CA方式特有の問題である隠れ端末の影響を受け、STAがAPのウェイクアップに失敗する確率が高くなる可能性がある。本稿では、まず、隠れ端末のウェイクアップ失敗率に対する影響について実機実験により評価する。また、ウェイクアップ後のデータ通信に対する隠れ端末の影響を計算機シミュレーションにより評価する。そして、ウェイクアップ失敗率とウェイクアップ後のデータ通信に対する隠れ端末の影響を比較することで、隠れ端末存在時のウェイクアップ動作の必要性について検証するとともに、ウェイクアップ失敗率を低減する方法についても検討を行う。