不確実性リスクを考慮した分散電源を含む配電系統設備計画手法の検討

摘要

本論文では，DGの導入を考慮した配電系統設備計画について，需要成長等の不確実性によって生じるリスクを予測し，計画段階で回避するような新しい配電系統設備計画手法についての提案を行う。 具体的には，まず需要予測およびDG導入量想定を不確実なものと捉え，これらの不確実要素を生起確率に基づいて有限個のシナリオに分けるシナリオ·ツリー方式を用いて表現することでモデル化を行う。 そして次に，意思決定者の効用関数を用いてそれぞれの不確実要素から生じるリスクの大きさを評価し，設備計画のコストを算出することで最適な設備計画を求める。 意思決定者の効用関数によって，不確実性に対するリスクを予め主観的等価量として見込んでコストを評価することができるため，コスト低下とリスク回避をバランスさせることが可能となる。この手法を，DGを効率的に利用した配電系統設備計画問題に導入することで，不確実性を考慮したDGを含む設備計画の定式化を行う。 なお，DGを含む設備計画においては，将来配電系統に導入されると予想されるDGを想定し，それらを考慮して配電系統設備計画を行うことを考える。 具体的には，設備投資コストと配電損失コストからなる配電コスト関数を定式化し，これを最小化するような設備投資計画を求める。 これは，すでに提案している手法を用いることができる。 加えて，上記の設備計画は非線形の組合せ最適化問題として定式化されるが，これを実用的な計算時間内で対応可能にするため，メタヒューリスティク手法であるタブーサーチ（Tabu Search，以下TS）を導入する。そして，シミュレーションによる検証を行い，不確実性を考慮した上で最適な配電系統設備計画を得る本手法の有効性を示す。