正20面体準一様格子を用いた非静力学大気大循環モデルの開発

摘要

気象気候学とは異なる分野から参加した私が貢献できるところはこういう所ではないだろうかと思い，佐藤正樹さん（東大気候システムセンター助教授及び地球フロンティア兼任）を筆頭に、津川元彦さん（地球フロンティア研究員），私らで全球モデルの力学過程の研究会を立ち上げました．志は大きく，高解像度で物理的な面でも計算効率の面でも最大限パフォーマンスが出る全球モデルを目指しました．大気大循環モデルにおいては，最も大きな不確定性を含む過程に積雲パラメタリゼイションがあります．我々は，一つ一つの対流雲をあらわに表現する雲解像モデルの全球版を構築することを目標にしました（図1）．最初は，過去の文献から調査を始め，正20面体格子等の球面準一様格子による格子点法がどうやら良さそうだと感触を得ましたが，過去の正20面体格子を使った方法では，計算エラー，計算不安定性に不満が残るもので，改良の余地が残されていました．以下の節では，苦労話等を交えながら，受賞対象になった論文の解説を中心に行っていきたいと思います．