セルラ移動通信システムにおける端末移動速度推定法に関する検討

摘要

近年，スマートフォン等の普及に伴い，セルラ移動通信におけるデータトラフィックが爆発的増大している．これに対応するため，高送信電力のマクロセルのエリア内に低送信電力のスモールセルを重畳する階層型セル構成の検討が行われている．階層型セル構成において多数のスモールセルが不規則かつ桐密に配置された場合，高速に走行する端末が短時間で複数のセルを移動する際，ハンドオーバ（HO）の頻度が増大し，HO処理中の通信断およびHO失敗の増加に伴うユーザ体感品質QoE（Quality of Experience）の劣化が課題となる．本課題に対処するには，高速走行の端末にはマクロセルへ接続し，静止または低速走行の端末のみスモールセルへ接続する階層間HO 制御が有効である．このような階層間HO制御を実現するには，端末の走行速度検出技術が不可欠である．本稿では，GPS等の位置情報を用いることなく端末の走行速度を検出する技術として，最大ドップラー周波数推定を用いた端末走行速度検出法について検討する．