英国の温暖化対策概要、国内事情を踏まえたEECの意義：英国の省エネ達成目標割当制度

摘要

英国の「省エネ達成目標割当制度（Energy Efficiency Commitment 2002-2005：以下EEC）」は、ガス·電力小売事業者が一般家庭を対象に省エネ手段を提供することを義務付けるものである。英政府は2000年11月「気候変動プログラム(CCP)」を発表し、2010年において-20％（1990年比）という国内の二酸化炭素排出削減目標を掲げている（「京都議定書」で定める英国の削減目標は-12.5％）。 この国内目標の達成に向け、英国内では2001年以降、一連の温暖化対策が打ち出された。 エネルギー課徴金である「気候変動課徴金(CCL)」（2001年4月開始）を始め、「国内排出権取引制度」、RPSに該当する「再生可能エネルギー購入義務制度(RO)」（ともに2002年4月開始）が導入されている。上記対策は概して、エネルギー生産者や産業に対する規制（義務参加、任意参加も含む）であるが、これらと対照的に一般家庭を対象とした制度がEECである。 EECは省エネの導入促進による温室効果ガスの排出削減という目的のほか、低所得者支援という福祉策としての一面も兼ね備える。