パリ市における蒸気·冷水ネットワーク事業：低炭素化に向けた地域冷暖房ネットワークの形成

摘要

パリ市における清掃工場排熱利用による蒸気ネットワークは、わが国の低炭素化社会の実現と都市エネルギーシステムのあり方と方向性を示唆している。この清掃工場排熱利用と地域暖房ネットワークは、古い歴史を有しながらも、21世紀の都市の新しい視点を提示し、それを着実に実施していることに、わが国は、今一度、学ぶ必要があると言える。即ち、都市におけるエネルギー·環境の今日的視点として、①低炭素化にむけての未利用エネルギー活用の面的ネットワーク形成；②都市インフラとして先行的な導管ネットラーク構築による有効性；③清掃工場等都市インフラとの連携による大幅なCO_2削減；④需要家にとって選択肢のある多様なエネルギー源活用によるエネルギーセキュリティ等があげられる。本稿では、1977年、2007年の欧州視察、本年3月CPCU社との意見交換、早大尾島研究室での調査内容等を含めて、東京都との比較解説を交えて紹介したい。