吸収式冷温水機の周辺設備設計マニュアル①：吸収式冷凍機の最新技術動向

摘要

ガス空調システムは、その優れた省エネルギー性、環境保全性、経済性、利便性、および省電力などの利点が認められただけでなく、天然ガスが国の基幹エネルギーとして、さらにガス冷房が電力負荷平準化の有効な手段としてそれぞれ位置づけられた結果、平成14年度に全国で3,500万kW (1,000万RT)を達成するまでの普及を遂げ、現在もなお拡大している。 これらのガス空調システムは、セントラル空調システムの熱源として利用される吸収式冷凍機（JISでの定義に準じ、ガス吸収冷温水機や蒸気吸収冷凍機等の総称）と、個別分散空調システムに利用されるガスエンジンヒートポンプに大別される。 その中で、全ガス空調システムの4分の3を占める吸収式冷凍機は、昭和30年代前半にわが国で初めて蒸気だき一重効用機が実用化したことを皮切りに、昭和40年代前半には高効率化を目的とした二重効用化、および一般空調への普及拡大を目的としたガスだき化に成功した。 以降、さらなる高効率化、小型化などへの技術革新が進むとともに、近年では、地球温暖化防止に有効であるコージェネレーションシステムにおける排熱利用の高度化へと進化してきている。 本報告では、吸収式冷凍機を用いた空調システムについて、その最新の技術を中心とした技術開発動向について述べる。