反強磁性／軟磁性積層裏打ち膜における磁化過程の軟磁性膜厚依存性

摘要

垂直磁気記録媒体では，書き込み時のヘッド磁界収斂性向上のため実効膜厚にして100T·nm程度の裏打ち膜(SUL)を設ける必要があるが，このような厚膜SULを用いた場合，突発的なスパイクノイズ除去のためSUL内に180°磁壁を形成させないことが肝要である．この課題を解決するためには，反強磁性／強磁性積層界面に発現する交換磁気異方性によって径方向容易軸磁気異方性を誘導し，零磁界状態でSUL全体を単磁区化する手法が有効である．我々は本手法の問題点として，FM層膜厚を増加させると交換結合磁界H{sub}(ex)が大きく減少することを指摘した．本講演では，反強磁性／強磁性積層SULの軟磁性層（FM層）の材料ならびに膜厚を様々に変化させた試料の磁気履歴曲線と磁区構造を対応させることにより，反強磁性／強磁性積層SULの設計指針を提案する．