スプリツトテイ形式高力ボルト引張接合部で構成される角形鋼管柱-H形鋼梁接合部の弾塑性挙動

摘要

本研究では、高カボルト接合によるスプリットティ形式引張接合を用いた無補強角形鋼管柱-H形断面梁接合部を含む鋼構造骨組の弾塑性挙動評価方法について論じた.本研究で得られた知見は、以下のようにまとめることができる.1．高カボルト接合によるスプリットティ形式引張接合を用いた無補強角形鋼管柱-H形断面梁接合部の力学的性能を表すパラメータである、全塑性耐力、最大耐力、及び初期剛性の評価法を示した.全塑性耐力、最大耐力の評価法については著者らによる研究でも既に論じられているが、本論文ではその後に公表された最新の研究結果に記されている耐力評価法と比較しながら、著者らによる耐力評価法の妥当性を論じた.接合部の初期剛性の評価法については、著者らによる梁仕口部を溶接接合としたノンダイアプラム形式箱形断面柱-H形断面梁接合部に関する剛性評価法を拡張し、本研究で対象とする接合部へ適用することを試みた.本論文で示した評価法の妥当性は、部分骨組の繰り返し載荷実験結果と比較対照することで確かめられた.2．部分骨組の繰り返し載荷実験により明らかになった柱管壁の面外変形挙動の履歴特性に基づき、梁仕口部の局部回転履歴挙動に関する解析モデルを提案した.この解析モデルは梁フランジ位置に配した軸方向弾塑性バネ2つから構成され、これら軸方向バネの辞塑性復元力特性と変形制限を組み合わせることで複雑な局部回転履歴挙動をモデル化しようとするものである.提案した解析モデルによって、部分骨組の繰り返し載荷実験結果が概ね再現できることが確かめられた.