変動軸力を受ける露出型柱脚を有する鋼構造骨組の弾塑性挙動

摘要

梁せん断力による変動軸力を受ける露出型柱脚が鋼構造骨組の弾塑性性状に与える影響を把握する目的で、1層2スパン骨組の載荷実験、および5層2スパン、9層2スパン骨組の地震応答解析を行った。地震応答解析では、変動軸力の影響を考慮できる柱脚モデルを用いた場合と従来の研究で用いられている変動軸カの影響を考慮しない柱脚モデル（スリップ型復元力特性モデル）を用いた場合の解析を行い、柱脚部の特性が骨組の地震応答性状に及ぼす影響を考察した。 1層2スパン骨組実験の考察から次の知見が得られた。 1）本実験の変動軸力範囲（±0.1 N_y程度）では、変動軸力が露出型柱脚を有する骨組の塑性崩壊荷重や弾性剛性に与える影響は小さく、骨組の弾性剛性や塑性崩壊荷重は一定鉛直力時の軸力を用いて既往研究の評価式により算出した数値を使用し推測可能である。 2）骨組内で変動軸カが作用するAbt降伏の露出型柱脚の復元力特性は、要素実験同様にスリップ型復元力特性となるが、その柱脚部を有する骨組はスリップ挙動を含む除荷点指向型の復元力特性を示す。ここで、骨組復元力特性のスリップ挙動は、要素実験の復元力特性と異なり顕著なものではない。